鎌倉乳腺・歯科連携の会

遅くなりましたが、3月末に開催された「鎌倉乳腺・歯科連携の会」のご報告をさせて頂きます。

この講演会は、湘南記念病院乳がんセンターの医師を中心とした医師グループと鎌倉市歯科医師会が、周術期口腔機能管理を念頭に毎年開催しています。

 

 

第5回となる今回、当院院長が、「円滑な周術期口腔機能・医科歯科連携を進めるために〜歯科から医科への所望〜」との演題で講演を行いました。

 

 

癌の治療に用いる抗がん剤は、副作用として口腔粘膜炎を発症します。

口腔粘膜炎の重症化予防と痛みを軽減するためには、抗がん剤の投与前から継続して歯科によるお口の管理を行う事が大変有効です。

 

また、乳がんの治療を行う際、骨転移を防ぐために骨吸収抑制剤の投与を行う事がありますが、それにより顎の骨が破壊される「顎骨壊死」が生じる場合があります。

発症のリスクを低下させるには、骨吸収抑制剤を使用する予定があれば、予め口腔内を検査し、感染源を出来るだけ排除しておく必要があります。

講演では、重症の顎骨壊死を発生した当院の患者さんの症例などから、医師の方々に歯科との連携の重要性をご理解頂きました。

がん治療は5年10年と継続していきます。

生じてほしくはありませんが、再発等再び周術期となる可能性があり、それに備えて歯科医師はがん患者さんのお口を継続して管理していく事が重要になります。

 

また、現在の医科歯科連携の主なツールは、未だに手紙やファックスを用いている現状があります。

タイムラグを防ぎ円滑な連携を行うには、当院の訪問歯科診療でも活用している「医療ICT」(情報通信技術)を、周術期口腔機能管理においても導入が急務であるという事も提言させて頂きました。

 

今回院長と共に演者を担当された、湘南記念病院整形外科の和田先生による、骨粗鬆症と骨吸収抑制剤に関する講演も大変勉強になりました。

 

今後も様々な治療現場における医科歯科連携の普及がすすむよう、尽力していきたいと思います。