風にのってどこからか金木犀の甘い香りが漂い始めました。
医院入り口のコムラサキの実も薄紫に色付いています。
確実に秋が深まっていますね。
さて、先日の院内研修のご報告です。
当院は診療時間を調整し、定期的に院内研修・全体ミーティングの時間を設けています。
今回は「周術期口腔機能管理」について、院長より研修を行いました。
「周術期口腔機能管理」とは、病気になり手術や化学療法を行う事になった患者さんに対し、術中・術後のトラブルを未然に防ぎ、計画通りに治療を行い、術後の早期回復を促すために医科と歯科が連携し口腔管理を行う事です。
具体的には、担当医師と相談の上、周術期間中(手術日を含めた手術前後の期間)に歯科は以下の事を行います。
① 口腔内の感染源(菌血症の原因)の除去
② 口腔衛生状態の確保
③ 歯・口腔粘膜の保護・口腔機能維持・回復
④ 術後合併症の予防
口腔機能管理を実践する事で、誤嚥性肺炎などの術後感染の予防、化学療法中の菌血症リスクの軽減や口腔粘膜炎の悪化抑制などが期待されます。
それにより抗生物質の投薬量の減少、患者さんのADL(日常生活動作)の低下が抑制され、結果として入院日数の短縮や社会生活への復帰が早まる、など様々な効果が実証されています。
当院は今年の3月まで約8年間にわたり、湘南鎌倉総合病院の血液内科病棟に出向し、周術期口腔機能管理を担当してきました。
病院内に歯科口腔外科が新設されたため病棟内での治療は引き継ぎ、現在は医師の依頼を受け、入院手術を控えた方、術後退院された方の口腔機能管理を行っています。
病棟で口の健康が全身の健康、ひいては命に直結している事を実感した経験は、当院の診療理念の大きな柱となっています。
今後も病気と闘う方々を、歯科の立場からサポートしていきたいと思います。