施設への訪問診療

当院は複数の介護施設グループホームにおいて、定期的に歯科診療と口腔ケアを行っています。

その1つ「グループホーム鎌倉常盤の家」には週に2回歯科衛生士と共に訪問しています。
このホームのある「常盤(ときわ)」は、鎌倉時代に幕府の執権を担った北条氏が邸宅を構えた地で、今も多くの屋敷跡が保存されています。
「歴史的風土保全地区」として開発が制限されているため、緑の山々や田畑が残る自然豊かな所です。

今回は、先日の「常盤の家」での様子から、当院の訪問診療の一端をご紹介します。

私達には、むし歯の治療、義歯の調整・修理、そして歯周病治療、口腔ケアを行う事以外にも大切な役割があります。
入所者さんの食事の様子をみて、摂食・咀嚼・嚥下が上手くできているかのチェックをし、必要に応じて摂食・嚥下の機能訓練を行う事です。

入所されている方は、ご自身の足でしっかり歩ける方、ほとんど車椅子で過ごされている方など様々ですが、食事はほとんどの方が普通食を召し上がっています。

まずお食事の時に観察するのは姿勢です。
病気の後遺症で足に運動麻痺や拘縮があると、座ったときに床にしっかり足を着けることが困難になってしまい姿勢が傾きます。

傾いた姿勢のままで食べている方は、上手く噛めなかったり誤嚥のリスクが高まるので修正する必要があります。
そのための支援として、椅子・車椅子に座った時の姿勢の修正方法の指導や、床や足載せに足がしっかりつくように対策を考えるのも私たちの仕事です。

「うまく噛めない」との訴えだけで義歯を作り直したり、噛み合わせを調整したりしても、それは解決にはなりません。

姿勢の修正は、介護が必要な方に限らず、義歯が合わずに来院される患者さんにも必ずお伝えするようにしています。

足をしっかり床につけるために行う足のマッサージや足の指の体操を指導しています。

飲食時の姿勢を修正するだけで、「噛む・飲む」事が劇的に改善する方もいらっしゃいます。

今後も、施設に入所されている皆さんが、より快適で楽しい生活を送る事ができるよう、マッサージやリハビリ、理学療法を担当されている職種の方々と連携をとって参りたいと思います。