鎌倉保健福祉事務所での糖尿病重症化予防に関する講演

本日鎌倉保健所において、栄養士の方達にむけて「糖尿病重症化予防に直結するお口の健康」と題して講演を行いました。

今まで糖尿病の治療は、血糖コントロールを行うために「食事療法」「運動療法」「薬物療法」が3本の柱とされてきました。
しかし、こうした治療を行っても効果がみられない場合、歯周病が原因となっているケースがあります。

歯周病菌から出される毒素が歯肉から血管内に入る事で、インスリンの働きを妨げる作用のある物質が産出されます。そのため、歯周病に罹患していると慢性的に血糖コントロールがしにくい状態が続いてしまうのです。
さらには、むし歯や歯周病で歯を失うと、よく噛めなくなり柔らかい食品を好むようになります。そのため炭水化物の摂取量が増え、血糖が上がってしまう恐れがあります。

また、糖尿病が悪化すると唾液の分泌が少なくなる等の理由で歯周病にかかりやすくなります。

このように糖尿病と歯周病は負のスパイラルの関係であるため、歯周病を治療しない限り糖尿病治療は望めません。
歯周病治療は糖尿病治療の4本目の柱」と言われるのはそのためです。

栄養士さんが立案する食事療法を効果の高いものにし、糖尿病の重症化予防を図るためにも歯周病予防・管理と噛む機能の維持・回復はとても大切です。
今回講演に参加して下さった栄養士の方々は、糖尿病患者さん達に食事療法を行っていらっしゃいます。
糖尿病と歯周病との関係を初めて知った方もいたようで、大変熱心に耳を傾けて下さいました。

当院は10年以上前から、湘南鎌倉総合病院で教育入院をされている糖尿病患者さん達にむけ、歯科衛生士による歯周病を予防・治療に関するレクチャーを行なっています。

今回も当院の歯科衛生士の木村さんにより、湘南鎌倉総合病院で行っているものと同様のレクチャーをさせて頂きました。
現場でどのようなことを行っているかよく理解してもらえたと思います。

また、4月の介護保険改訂では、在宅における栄養指導の推進が盛り込まれています。
食支援の観点から、歯科が多職種と連携して要介護の方々の食べる・飲み込む機能を継続的に検査・評価し、機能管理と維持・改善プログラムを提案していかなければ在宅での介護は行き詰ってしまいます。
国や地域の方々のニーズ・期待に応えられるスキルをもって多職種連携に臨まなければならないと改めて感じました。