老健かまくらでの研修会

昨日、介護老人保険施設老健かまくら」において「口腔ケア研修会」を行いました。

老健かまくらは介護度の高い方が多く入所されています。
ご自分での歯磨きや義歯のお手入れが困難である傾向があり、お口の衛生状態を保つには介護士や看護師など施設職員の方によるデイリーケアと私達歯科によるプロフェッショナルケアが必要になります。

口腔ケアの担い手として施設職員の皆さんに入所者さんのお口の中により関心を持ち、正しいケアの方法を学んで頂くため定期的に講習会を行っています。


要介護者の口腔ケアは、現在日本人の死亡原因第3位になっている、「誤嚥性肺炎」を防ぐうえで欠かすことはできません。

当院が当老健施設で口腔ケアを担当して5年目になりますが、誤嚥性肺炎を発症する入所者さんが激減したという統計が出ています。

今後、入所者さんが当施設でのリハビリを終え退所した後も継続して適切な口腔ケアが行われる環境作りをしていく必要があります。
老健施設では退所が急遽決まり特別養護老人施設へ移っていってしまう方も多く、どのように対処していくか施設側と共に良案を見つけていかなければならないと考えています。

また、誤嚥性肺炎を予防するには、口腔ケアと合わせて飲み込む力「嚥下機能」を維持するトレーニングが必要です。
良い飲み込みをするには、食事の時の姿勢と喉の筋力が関わっています。
さらに、食べ物を噛んで飲み込みやすくするため、また口腔内の環境改善のために出来るだけ唾液分泌量を増やさねばなりません
そのためには、姿勢の改善と筋力維持、そして唾液分泌を促す「健口体操」「嚥下体操」「唾液腺マッサージ」を日常のケアに加えることが有効になります。

講演の中で参加者の皆さんと一緒にこれらの体操・マッサージを実際におこない、姿勢の改善と唾液分泌が促されることを体験していただきました。

今後も提携先の老健施設や地域のケアステーションと協力し、介護職員や介護をされるご家族に口腔ケアについてご理解頂くよう努めると共に、居宅でのケアプランにケアマネージャーさんが口腔ケアを入れる手続きがスムーズに行われるよう働きかけて参りたいと思います。

当院のある鎌倉市は、すでに人口に対し65歳以上の高齢者の割合が3割に達しています。
そして近い将来日本全体がこの超高齢社会を迎えます。

年齢を重ねても食べたい物を食べ、行きたい所に行き、ご自分らしい生涯を送る。
それが当たり前の事になるように、今我々歯科医療従事者の力量が試されていると感じています。