がん医科歯科連携の研修会(院長)

本日県歯科医師会主催の「がん医科歯科連携の研修会」に衛生士と共に参加して参りました。

県立がんセンター消化器外科の尾形先生より、周術期口腔機能管理の有用性について医師の見地からお話がありました。

先生の受け持つ消化器系のがん、特に食道がんの手術・治療には術後に喉の神経麻痺を伴う事が多いため、誤嚥性肺炎を起こすリスクが高く、術前の口腔機能管理がとても大切になります。
そのため先生は周術期口腔機能管理の重要性を実感し、医科歯科連携の認識をより普及させる活動をしておられます。

がんの手術は成功したにも関わらず、その後併発した誤嚥性肺炎で亡くなってしまう方が少なからずいらっしゃいます。
適切な対応を取れていれば救えた命であったかもしれず、大変残念な事です。

術前に充分な歯科治療や口腔ケアを行うには、少なくとも2週間必要です。
そのため、がんが診断されたと同時期に口腔機能管理をスタートするのが理想ですが、忙しい医師の側にも宣告を受けた患者さんの側にも、その余裕が無いのが現状との事です。
そのため、病院の「がん治療コーディネーター」の方が口腔機能管理の必要性と治療スケジュールを患者さんにしっかりと説明し、ご理解頂く事が最も効果的とのお話しでした。

静岡がんセンターの口腔外科部長の百合草先生からは、「がん治療における歯科支持療法 〜病院と地域歯科診療所の連携体制の構築〜」と題して講演がありました。

まず、がんと診断された患者さんに、がん治療前から歯科治療・口腔ケアを行うことで合併症の予防ができること、術後のトラブルを最小限にとどめる事を理解して頂くのが大切であるとお話しされました
また、口腔清掃などセルフケアを実践しがん治療に自らが参加するという意識を実感させることが、治療効果をより高める結果となり、より良い予後に繋がると解説して下さいました。

今後、地域歯科医院にはがんだけではなく全身麻酔で手術を行なう様々な疾患の患者さんが治療に備えて来院する機会が増えて来ると思われます。
そうした患者さんに対応するにはその患者さんの病気の治療方法・予測される経過をよく理解し、手術前のケア・歯科治療を的確に行う歯科支持療法のスキルを身につけておく必要性があります。

本日の講演を参考に、当院で行う周術期口腔機能管理の方法・手技をスタッフ皆で改めて考えて行こうと思います。