歯の痛みの原因、実は・・・(院長)

歯科医院受診される方の多くは歯の痛みの治療で来院されます。

歯の痛みの原因を、患者さんの多くは『むし歯』によるものと思われています。
勿論むし歯で痛みを生じていることが多いのですが、実は無意識のうちにくいしばり・噛締めてしまう事で歯が負担オーバーになり痛みが生じていることも少なくありません。
歯がいわゆる捻挫・突き指状態になって痛みが生じていると考えて頂くと理解しやすいと思います。

私達の口の中は硬い歯が硬い骨に植わっている状態なのですが、歯と骨を結合しているのがわずか厚さ0.1〜0.2mmの歯根膜という靭帯です。

普段食事の時、奥歯では数百gから数kgで食品を噛んでいます。硬いスルメなどを噛んでも30kg程度の力で、しかも食品が噛むたびに柔らかく細かくなるので30kgの力で噛んでいる時間は数秒です。
しかし、寝ている間などに無意識のうちに歯ぎしりや噛締めをしてしまうと、奥歯には100kg以上の力が掛ってしまいます。
しかも間欠的に1〜2分間続けてしまうため、日中3回の食事の時に負担する何十倍もの力が奥歯に掛る事になります。
その結果、歯根膜に炎症が生じてしまうのです。「噛むと痛い」という症状が生じるのはそのためです。

さらに歯根膜に炎症が起きることで歯髄(歯の神経)に血行不全が生じ、歯髄細胞がむくみ起こし神経線維が圧迫されてしまうので「冷たいもので歯がしみる」知覚過敏症状が現れます。
症状はむし歯になった場合と非常に似ていますし、噛締める度合いが強いとかなりの痛みを生じることもあります。

このように、歯の痛みの原因が虫歯でないのに誤って歯の神経をとる処置を行ってしまう事の無いよう充分注意が必要です。一度取られた歯の神経は元には戻りません。
神経の無い歯は質が脆くなり、将来歯が割れてしまうリスクが高まってしまいます。
そのため、我々歯科医師はしっかりとした診断力を付けることが大切です。

また改めて噛み締めによる痛みの治療法について記載したいと思います。

今回のブログは固い内容になりましたので、最後に写真を1枚。


先週の土曜日に行なわれた江ノ島花火大会の花火です。
私は仕事で見られなかったのですが、家族が実家のベランダから鑑賞したそうです。

暑い夏の花火も良いですが、秋の花火も趣がありますね。