今年は4年に一度の「うるう年」で、今日は貴重な2月29日!
明日からは早いものでもう3月です。
鎌倉は今、早咲きの桜が満開です。
先週の暖かさで一気に開花が進みましたが、その後に続いた寒さにビックリしているかもしれませんね。
さて、今回のブログは先日の院内研修についてのご報告です。
当院は毎月診療時間を調整して、院内研修・全体ミーティングを行なっています。
今回の研修は、訪問診療・口腔ケアチームが担当してくれました。
まず、去年参加した「第23回日本訪問歯科医学会」についての報告がありました。
訪問歯科診療が外来の診療と大きく違うのは、“悪い所を治す”というより、その患者さんの“生活の質を維持する”事を第一に考えて、治療を選択するという所です。
要介護となったご高齢の方や、病気で終末期を迎えられた方のおかれた状況を、人生において自然な「ナチュラルステージ」であると捉え、患者さんが希望する事やQOL(生活の質)を上げるための医療を提供し、患者さんの自己実現のお手伝いをするのが訪問歯科診療です。
その際、ご家族などのキーパーソン、ケアマネジャー、医師、看護師、介護士等の方との連携を取りつつ治療を進めます。
外来診療スタッフにとっても心に留めておきべき言葉が紹介されました。
「社会的処方」です。
薬や医療だけに頼らず、人や地域との繋がりによって「孤独・孤立」の問題を解消する事で、患者さんの心身を健康に導く事を言います。
当院での出来事を一つご紹介します。
訪問診療・口腔ケアに伺っていたご高齢の男性患者さんが亡くなられました。
その方の奥様も以前から当院の外来に通われていて、ご主人の事が落ち着かれた頃に通院を再開されました。
奥様のご来院時にご主人の担当訪問歯科衛生士がご挨拶に伺った所、涙を流して喜ばれていました。
ご主人の介護が始まった数年前から、奥様は趣味や習い事、友人との関わりからも遠ざかり、人との繋がりはご主人の介護・医療に関わる様々な人(ケアマネ・訪問診療・看護・訪問歯科・リハビリ、入浴サービス等に携わるスタッフ)が殆どの生活となっていました。
それがご主人とのお別れとともに、毎週のように会っていたそれらの方との交流も同時かつ一気に無くなってしまい、とても寂しく感じておられたそうです。
「社会的処方」は患者さんだけでなく、ご家族にとっても大切なものであったと実感するエピソードです。
外来診療においても、お一人でお住まいのご高齢の方にとって、この来院時のやりとりが今日唯一の会話かもしれない。
そんな想像力を持って、患者さんに接したいと思います。
また先月訪問スタッフは「認知症患者への対応力向上研修会」に参加しましたので、その内容も報告してもらいました。
認知症の方がどのよう事に不安になり、プライドを傷付けられたと感じるのか。
反対に、どう対応すれば安心して穏やかな気持ちになるのか、とても分かりやすくまとめられていました。
外来でも遭遇するであろうシチュエーションの動画も視聴しました。
今後認知症の方がご来院された際、より一層寄り添ったご対応が出来るよう、今回の研修を活かしていきたいと思います。
訪問歯科診療チームの皆さん、お疲れでした!